リストラティブヨガとは?
リストラティブヨガの起源
アメリカの理学療法士であるジュディス・ラサター(Judith Lasater)氏によって考案された新しいヨガです。ブロックやベルトなどヨガ用の道具を用いながら解剖学的にも理にかなった形でポーズを行うアイアンガーヨガの正式指導者です。ある時、双子の兄弟が亡くなったことがきっかけで、マットの上に立ち今までのようにヨガを行うことが出来なくなってしまいます。その時に自分を悲しみから癒すために、この動きのないリストラティブヨガを考案したそうです。
リストラティブヨガはどんなヨガ?
「リストラティブ」とは「休息」の意味があります。心身を休めて回復させる動かないヨガです。
ボルスターと呼ばれるヨガ用の長枕、ブロック、毛布、ベルト、壁、椅子などヨガの道具(プロップス)をうまくつかって、身体の力を抜いたままゆだねてリラックスした姿勢をキープしていきます。
どんな方に向いてるの?
本来、私たちの体には「自己治癒力、とくに自然治癒力」が備わっています。しかし、過度の緊張状態や強いストレス状態にさらされている状態では。「自己治癒力・自然治癒力」が発揮できず、不調が身体に表れてくるのです。
深いストレスにさらされていると・・・
・睡眠をとってもまだ疲れている。
・常に身体が重く感じ疲れている。
・心が疲れ切って楽しいと思えない。
・常に心配事があって呼吸が浅い。
・めまいやほてりがでる。
・食欲がわかない。
・なかなか眠りに寝つくこが出来ない。
などなど様々な症状が出てくることがあります。
病院にかかるも、どの検査をしても理由がわからないことが多く、いろいろな科をたらいまわしにされてしまうような方もいらっしゃるかもしれません。いわゆる、自律神経失調症(正式な病名ではなく、症状をまとめて呼ぶ通称となります)や、心身ストレスによるものなども、対症療法で症状を薬で抑えたとしても、結局身体の調子が戻るわけではありません。
このような心身の不調には、リストラティブヨガがおすすめです。ストレスにより疲れ切った、心身をじっくり自分と向き合い、何もしない時間を与えてあげることが自分を癒し、エネルギーを高める効果があるのです。
どんな効果があるの?
生理学的にも、リストラティブヨガは理にかなった効率の良い休息となります。脳は寝ている間も動き続けています。リストラティブヨガはプロップスに身をゆだねた、支えられた姿勢でポーズのキープ時間が10分から15分ほどと長めです。
リストラティブヨガのポーズは数より質で、動きは少なくシンプルなほうがいいのです。そのキープ時間が長いことで、いつでも不測の事態にそなえてパッと反応できるようにとスタンバイしている脳が、警戒心が取れ、休まるのです。敵が来た時に、すぐ逃げる、または攻撃態勢にはいれるようにという、いわば本能的な防御反応、警戒心が、常に神経を張って脳を働かせ続け、それがそのままストレスとなるのです。
本能的には、人とすれ違うだけでもストレスになるそうです。そんな脳を、意識して、何もしない時間を与えてあげるのです。瞑想もそうですが、心身ともに疲れている場合には、このリストラティブヨガの姿勢での深いシラクゼーションは自分で自分を癒すのにより向いています。
たとえ、一晩寝て、朝起きてみても、疲れがとれない、いつも身体が疲れているという方には、寝ることよりもこのリストラティブヨガのほうが癒し効果が高いかもしれません。
リストラティブヨガのコツって?
ここで、このリストラティブヨガは少しマニアックなヨガだと思います。1回でその効果を感じて気に入る人も中にはいらっしゃいますが、この動かないヨガがなんなんだろうかと疑問に思い良さが体感できない方が多いです。
普段、アクティブに動いてらっしゃる方がその傾向があるかもしれません。ですが、たとえ普段アクティブで元気な方でも、なにも考えずにすむ頭を空っぽにする時間があると、より自分のエネルギーが高まることに気付くでしょう。リストラティブヨガの良さを味わうコツは、落ち着く姿勢をみつけたら、自分の頭の中のおしゃべりを静観することです。
頭の中で考えていることをそっと見守り、それにあまり反応しないことがおすすめです。無関心を装い、そっとしておくのです。
「今は関係ないなー。」という感じでそっと触れないように流すのです。反応してしまうと、頭の中のおしゃべりは連想が連想を生み、次々いそがしく働いてしまうのです。だんだんと頭の中の考えるスピードがおそくなってきたり、あまり考えなくなってきたりするのをそっと見守りながら、脳をリラックスさせていきましょう。
脳がリラックスすると、「ただ寝ていただけ」ではない、エネルギーの回復が実感できるはずです。よかったらリストラティブヨガクラスは一度ではなく数回受けてみてください。初回にはリラックスできなくても2度目、3度目にはリラックスが深まっていくはずです。あとは、自分と相性の合うリストラティブヨガのよい指導者にであえるといいですね。
スタジオで使うプロップスは?
毛布、ブロック、椅子、壁、たまご型のブロック、アイピローなど・・・たくさんの道具を使います。
プロップスの充実したヨガ教室がおすすめです。
おうちでやるなら、布団や座布団をまるめてボルスターがわりに使うことも、壁や椅子を使ってアレンジすることも出来ます。
Beyondではお近くにお住いの方であれば、出張レッスンでボルスター等のプロップスをご自宅にお持ちすることも可能です。
リストラティブヨガにはどんなポーズがあるの?
スプタバタコナサナ(黄金の子宮のポーズ)
見た目は驚くかもしれませんが、とてもリラクゼーション効果が高いポーズです。黄金の子宮のポーズと呼ばれることもあり、骨盤内の血行をよくしながらもとてもリラックスできるので、女性におすすめのポーズです。股関節が外旋(外に開く)し、胸は穏やかにひらき、呼吸がとても深くなります。
腰が痛い方や、股関節が硬い方は股関節はひらかず、前に伸ばして膝を少し曲げられるように膝枕をひざ下に入れるほうがリラックスできます。経験ある講師がお一人づつ丁寧に見て修正しますので心配いりません。
ヴィパリタカラニ(壁に足をたてかけるポーズ)
いったん血液もリンパも中心部に集めるように逆さまにしてから、元に戻すことで足の巡りをよくします。特に一日の疲れを癒し、足の方に老廃物がたまったり、むくんだりしがちな夜におすすめのポーズです。
ももの裏(ハムストリングス)が硬い方には、壁の間にボルスターを置いて傾斜を和らげます。
うつ伏せのツイストのポーズ
背骨が骨格上の大黒柱で、脊髄も通り、神経系も動脈も静脈もあり、身体の大切なエネルギーの通り道です。ヨガではその背骨を整えることを大切にしています。おだやかに身体の力を委ねながら胸もお腹もボルスターにあすけてのツイストのポーズは、心が落ち着く前屈の要素も相まってとても理タックス出来ます。
前屈
身体を委ねる前屈のポーズで、心が落ち着きます。リストラティブヨガでなくても、前屈のヨガポーズは心が落ち着くポーズです。リストラティブヨガの前屈では、身体をうつ伏せにして委ねることで、その落ち着きはより深いものになります。うつ伏せは少し胸に圧迫がありますが、それが呼吸で胸の動きが感じられます。吸うと胸がふくらみ、ボルスターを少し押し出します。吐くと、ボルスターに身体の重みとともに沈んでいきます。息苦しくない程度のすこし圧迫された状態で、身体がすっぽり包まれて呼吸の動きを丁寧に感じながら深い呼吸を意識していくととても呼吸が深くなるのです。また、骨盤が前傾して腰が丸くなるので、腰回りの筋肉のやさしいストレッチになります。腰のコリにも穏やかに効くポーズです。
リストラティブヨガはどんな時におすすめ?
- 生理中
- 更年期
- 妊娠期
- 産褥期
- 安眠に
特に女性にリストラティブヨガはおすすめです。
妊娠期、授乳期や更年期などライフステージにより変化する身体も心も、生理周期による毎月の身体も心も浮き沈みのある心やエネルギーのバランスをとるのに特にリストラティブヨガが役に立ちます。
ヨガBeyond(荻窪)でのリストラティブヨガ
リラックス&リストラティブヨガ
(※グループレッスンは不定期開催となっていますがプライベートレッスンで承ります。)
ポーズをシンプルに。プロップスの組み換えで頭を忙しくさせてしまうと、せっかくポーズでリラックスした左脳が、また忙しく働いてしまいます。
私もかつては、ボルスターで身体を支え、楽な姿勢をキープするものをたくさん行っていくタイプのリストラティブヨガを開催していた時期がありました。ボルスターやブロックのセッティングにより、リラックスが出来ないというところにまでは意識が及んでいなかったのです。そんな紆余曲折を経て、現在はポーズをよりシンプルに。ポーズとポーズの間の時間、道具のセッティング時間もクラスの一部として脳がより休まるようにクラス構成に気をつかっています。
アイアンガーヨガのように、解剖学の知識をもとにプロップスを用いて身体のアライメントを整えるのが得意なイシュタヨガ指導者。そのイシュタヨガの知識を生かしながら、ジュディス先生の教えに近いリストラティブヨガを指導しています。普段忙しく、頑張っている分、頑張らない時間は誰にでも必要です。心と身体をゆったりほどき、自分の内側から生まれる癒しを体験しましょう。