【3/11チャリティクラスご報告】震災遺児の進学の夢を叶える「みちのく未来基金」に寄付させていただきました。

すべての呼吸を平和のために
東日本大震災から丸6年を迎えた昨日。クリスタルボウルの生演奏とのコラボで、チャリティ特別クラスを開催させてもらいました。おかげさまで、満員御礼のキャンセル待ち。チャリティの趣旨に賛同し、快くスタジオを提供してくださったBeyond代表の渚先生に、心から感謝しています。
毎年この時期は、様々な想いが巡ります。「まだ6年」「もう6年」今年もやっぱりそうでした。あの日、いつもと同じように学校や職場に行き、家事を始め、普段と変わらない一日の始まりを迎えていた人が大勢いたはず。正午を過ぎ、その数時間後に、想像を絶するような現実が待っているとは、恐らく夢にも思わず…。
そのとき、わたしは当時働いていた広告代理店がある都心の高層ビルにいて、下から地盤を突き上げるような尋常のない揺れに、一瞬何が起きたのか分からなかったことを覚えています。フロアにあったテレビがニュースに変わり、最初に目に飛び込んできた地名は、懐かしい東北のものでした。社会人になってすぐ、初めての勤務地として2年弱を過ごした仙台。そこを拠点に、東北6県と北海道がわたしの担当エリアでした。
目に映るニュース映像は、次第に現実のものとは思えないものに変わっていき、それをすぐには頭の中で整理することができませんでしたが、その月を最後に、会社員からフリーランスになることを決めていたわたしは、いてもたってもいられなくなりました。支援物資や義援金を募り、信頼できるルートを通じて、被災地に送ることを続けながら、現地を訪れ、次第に「ヨガに関わっているからこそできる応援を、必要とされるなら届けたい」と思うようになりました。
そうやって始めたヨガを通じたチャリティ活動がBreathe for Peace(B4P)。「すべての呼吸を平和のために」という願いを名前に込め、当時東北ではまだあまり馴染みのなかったリストラティブ・ヨガを、セルフ・ケアやセルフ・ヒーリングのツールとして、身近なものにしてもらうお手伝いを始めました。
例年なら、この時期は東北にいて、向こうでチャリティのクラスをさせてもらいますが、今年は東京。渚先生をはじめ、離れた場所からでも、復興地にエールを送りたいと願う方たちに賛同していただいて、昨日のクラスが実現しました。
クリスタルボウルを奏でてくれたのは、産声を上げた土地が仙台というMakikoさん。以前わたしが通訳をさせてもらったリストラティブ・ヨガ指導者養成講座以来のご縁ですが、Makikoさんが奏でるボウルの音色は、温かく、伸びやかで、スタジオ全体を包み込み、そして身体の細胞に染み渡るような透明感がありました。ご自分が生まれた大切な場所を想い、特別な気持ちで演奏してくださっていたのが、しみじみと伝わってきました。
そこに、昨日あの場に来ることを選んでくださった皆さんの波動がかけ合わさって、静かだけれど、力強いものが生まれたひとときだったと思います。そしてそれはわたしたちの中だけに留まることなく、想いを込めれば、必ず必要とされる人や場所に届いていくと信じています。
皆さんからお預かりした参加費、そしてレンタルマット代の全額は、震災遺児の進学の夢を叶える「みちのく未来基金」に寄付させていただきます。それはただのお金ではなく、たくさんの想いがこもった特別なエネルギーです。
6年経った今もなお、仮設住宅に暮らす方たちは3万5千人と言われています。昨年発生した熊本地震で被害を受け、同じように仮設での暮らしを余儀なくされている方たちは4万人。一人ですべての人を救うことはできなくても、多くの力が合わされば、一人でできないことも可能になります。大切なのは、たとえ物理的な距離が離れていたとしても、心を寄せ続けること。必要とされる限り、できることはたくさんあるはず。わたし自身改めて、そこに立ち返ることができました。
「どんな行動にも勇気が必要だけれど、それを支えるのは愛情」。昨日のクラスに参加してくれた友人の一人が贈ってくれた言葉を胸に、今後も等身大の応援を続けていきたいと思っています。お力添えくださる皆さんへの感謝の想いを新たにしながら…。
これからも「すべての呼吸を平和のために」♡
Breathe for Peace(B4P)代表
川原 朋子

【ヨガコラム #7】スター・ウォーズとヨガ
先日、初めて『スター・ウォーズ』を観に行きました。これまでに公開されたエピソードや、主要な登場人物がよく分かっていなくても、なんとか物語についていくことはできましたが、正義や大義のためとは言っても、結局は争いばかり。タイトルがスター・ウォーズ=宇宙戦争というくらいですから、よく考えれば当たり前なのですが、スクリーンの中で描かれる戦闘シーンを、単なるフィクションと片付けることはできませんでした。実際に今この瞬間も、この世界のどこかで、同じようなことが現実として繰り広げられているからです。
殺したり、殺されたり…。物語の世界とは言え、そうした要素がなぜ「娯楽」の題材になってしまうのか。私たち人間のどんな心理がそうさせるのか。いつも疑問に思うことです。ジョン・レノンの『イマジン』を聴くたび、どこか複雑な気持ちになってしまうのとよく似ています。もう46年も前に発表された楽曲なのに、いまだその歌詞の世界とはほど遠い現実に、つい虚しさや、やるせなさを覚えてしまうのです。
でも「国や人種、宗教間の対立をなくし、憎しみや所有欲を手放すことで訪れる心の平穏が、必ず世の中に平和をもたらす」。彼がそう歌いかける世界を想い描き、たとえどんなにささやかでも、自分にできることを続けている人は、数え切れないほどいるはずです。大切なのは、その中の一人でいるのをやめないこと。そうすればいつか、スター・ウォーズではなく『スター・ピース(平和)』というようなタイトルの映画が、全世界で大流行するかもしれません。それを信じていたいと思います。
「フォースと共にあらんことを(May the Force be with you)」
言わずと知れた『スター・ウォーズ』の名台詞は、"May God be with you." 「あなたに神のご加護がありますように」という言い回しからきているそうです。Force(フォース=エネルギー、力)をGod(神)に置き換えているのですが、これはヨガで言うプルシャ(prusha)のこと。色々な解釈や訳がありますが、一般的には移り変わることのない不変の存在、霊魂、純粋意識などと呼ばれます。
そして、そのプルシャから生み出されるすべてのものが、プラクリティ(prakriti)。簡単に言えば、プルシャ以外のすべてがプラクリティです。純粋な魂であるプルシャに対して、プラクリティは物質。つまりは、常に移り変わっているもので、そこにはわたしたちの存在も含まれます。
少し難しい話になりますが、ヨガ哲学には、このプルシャとプラクリティは、どこまでいっても別ものであると考える「二元論」と、プルシャから生み出されたプラクリティは、言わば硬貨の裏表のように同一のものだとする「非二元論」。その二つの考え方があります。わたしが大切にしているアプローチ、ハート・オブ・ヨガは非二元論。すべての起源であるプルシャから生まれたわたしたちプラクリティは、プルシャと同じように純粋で、尊く、完全であるとし、そのエッセンスがプラクティスの中に、色濃く反映しています。それは、心身回復のヨガとされるリストラティブ・ヨガでも同じです。
その観点からいくと「フォースと共にあらんことを」という言葉は、「あなた自身がフォースであることを、忘れることがありませんように」という意味。たとえどんなに短くても、日々自分のヨガをするのはそのためです。マットの上でも、マットの外でも、自らがフォース=神々しい存在であることを、いつも覚えていられますように。
With love,
tOMoko ♥
【ヨガコラム #6】自分でいること
新たな年も、あっという間に最初のひと月が終わろうとしています。「今年こそは!」と一年の目標を立て、それに向かって順調なスタートを切れていることもあれば、つい後回しになってしまっていることもあるかもしれません。2017年、残りの11ヶ月で、あなたが一番大切にしたいことは何でしょう?
つい先日、あるSNSの投稿で「ストレスと無縁の一年を送る15の秘訣(15 Ways to Make This a Stress-Free Year)」が目に止まりました。元が英語なので、和訳をしてみるとこんな感じです。
1. 仕事場を整理する(Organize your workplace)
2. 最善を尽くす(Try your best)
3. 仕事を減らし、遊びを増やす(Less work more play)
4. くつろぐ(Relax)
5. 自分の聖域を片付ける(De-clutter your sanctuary)
6. 私生活を整える(Clean up your personal life)
7. 周りにいる人たちに感謝する(Appreciate those around you)
8. 思い立ったら親切な行いをする(Random Acts of Kindness)
9. お金を貯める(Save money)
10. 趣味を見つける(Get a hobby)
11. 自分に挑む(Challenge yourself)
12. 健康法を実践する(Develop a healthy regimen)
13. 10まで数える(Count to 10)
14. 前向きでいる(Be positive)
15. 自分でいる(Be You)
これがストレスを撃退してくれる15項目なら、逆のことをするとストレスが溜まるということ。リストは順不同なのかもしれませんが、ストレスに負けないために、とりわけ大切なのは「自分でいる」ことなのではないでしょうか。わたしの恩師、世界で伝統的なハタヨガのアプローチであるハート・オブ・ヨガを伝えるマーク・ウィットウェルは、自身が教えを受けた先生方の話をよくしてくれるのですが、中でも印象的なものはこの言葉です。
「自分ではない誰かになろうとすること。それが人の苦しみの始まりである」
(UG. クリシュナムルティ)
"Trying to become someone other than yourself is the beginning of human suffering."
ーUG. Krishnamruti
自分のために始めたヨガ。それなのに、必死にインストラクションについていこうとしたり、何かと周りが気になったり、自分の身体の声や呼吸に寄り添うことが、抜け落ちてしまっていることはありませんか?それはいつの間にか、自分ではなく、他の誰かがプラクティスの基準になってしまっているということ。それでは残念ながら、自分のためのヨガをしているつもりでも、他人のヨガをしているのと同じです。
ヨガは、人の数だけ正解があるもの。それは、身体一つとっても骨格が違い、関節の可動域が違い、そこにライフスタイルや、文化的背景、心の状態が加われば、誰一人として、自分と同じ存在はこの世の中にいないことが明らかだからです。
「たとえ誰であっても、正しいヨガは一人にひとつ(There is a right yoga for each person no matter who the person is)」
マークの恩師の一人であるT. クリシュナマチャリアが言うように、わたしは「わたし」のヨガでいいのです。誰かのヨガをする必要はありません。
「あなたのヨガをしなさい。ヨガであれば何でもよい訳ではなく、あなた自身のヨガでなくてはなりません」
(T. クリシュナマチャリア)
"Do your yoga. Not just any yoga but YOUR yoga."
ーT. Krishnamacharya
ではどうすれば、誰かのヨガではなく「わたしのヨガ」ができるのでしょう。それは他でもない、自分自身の呼吸を中心にすること。先生のインストラクションでもなく、周りの人の動きでもなく、自分の呼吸にすべての主導権を持たせて、プラクティスをすることです。いわゆるグループレッスンのように、複数でヨガをしていたとしても、呼吸の長さ、深さ、ペースは、人それぞれ違います。その呼吸に従っていれば、自ずと「わたしのヨガ」になるということ。そうすることで、プラクティスをしているときの意識も、外ではなく、自然と「内」に向いていきます。ハート・オブ・ヨガが"動く瞑想"と呼ばれるのはそのためです。
「もがき苦しむのはやめましょう。呼吸に従うのです。アサーナをしていて、呼吸についていくのが辛くなったら、ポーズを緩めます。何か別のことをしてみるのです。呼吸があなたを先導しているとき、力技で、ねじこむようにポーズをするのは良くありません。プラクティスのどの瞬間も、呼吸と一つでありましょう」
(マーク・ウィットウェル)
"Don't struggle. Obey your breath. If you can't stay with the breath in the asana, then ease up! Do something different. It's no good going to some sort of muscular effort in the body if the breath leads you. Stay with the breath in every moment of the practice."
ーMark Whitwell
With love,
tOMoko ♥

深呼吸のすすめ
こんにちは!ゲスト・ティーチャーの川原朋子です。
早いもので、師走も折り返しを過ぎ、2016年も残り10日ほどとなりました。年の瀬は、やらなければならないことに追われ、ただでさえ気持ちが焦りがち。限られた時間の中で、あれもこれもこなそうと、頭をぐるぐる回転させながら、あちこち動き回っていると、どうしても呼吸は速く、浅くなってしまいます。呼吸と神経系は密接に結びついているため、その状態がさらなる緊迫感をあおり、気持ちもいっぱいいっぱいに。それゆえ、より呼吸が乱れてしまう悪循環を、どう断ち切ればいいのでしょう?
まずは、深いため息をつくこと。たっぷりと息を吐けば、身体から少しでも余分な力が抜けて、心のこわばりが解けるのを感じませんか?日本では「ため息をつくと幸せが逃げる」と言われますが、呼吸のメカニズムを考えると、必ずしもそれは正解ではなく、むしろ逆だと思います。わたしたちの身体は、息を吐いたら吐いた分だけ、息を吸えるようにできているからです。それは物理的な意味でも同じ。古いものを手放さなければ、新しいものを手にするスペースがありません。呼吸はまさにそうやって、わたしたちの命を日々繫いでくれているのです。
頭の中のおしゃべりを静めたい。心の緊張を緩和したい。そう思ったら、まずは呼吸を深めることが一番。それには、十分に息を吐くことです。そしてもう一つ。壁や椅子を使ったり、ベッドやソファなどを利用して、足を床より高くあげてみましょう。その姿勢を取るだけで、脳に自然と「休息」の信号が送られ、心と身体が緩みます。人は緊張状態にあるとき、交感神経が優位になり、ストレスから逃げるか、あるいはそれに対抗して身を守ろうとする「闘争逃避反応」が起こります。つまり、立位など、足が床についている姿勢は、そのストレスに常に立ち向かおうとしている状態です。床から足を持ち上げることは、どこにも逃げなくていい、何とも闘わなくていいというメッセージを、自分に伝えているのと同じ。そのため、リラクゼーションを促す「副交感神経」が優位になり、「弛緩反応」が起こるのです。
忙しい年末。一日5分でも、それが難しかったら、2分でも3分でも足を上げ、上半身を楽に横たえて、たっぷりと呼吸をしてみましょう。夜寝る前の習慣にすれば、深い眠りを得る助けとなってくれます。
心身回復のヨガと呼ばれる「リストラティブ・ヨガ」は、この副交感神経を高め、自分を心地のよいリラクゼーションへと誘うプラクティス。プロップ(補助具)を使って足を上げ、ゆっくりとお休みする体勢は、人気のポーズの一つです。明日(12/21)は、19:15〜20:45まで、年内最後のクラスがあります。忘年会や、新年を迎える準備で慌ただしくなりがちな時期。全身で深呼吸して、心身の大掃除(デトックス)にもなるひとときを是非ご一緒しませんか?ヨガが初めての方でもまったく問題ありません。お時間とお気持ちの合う方は、今年一年頑張ったご自分へのご褒美を兼ねて、お気軽に起こしください。どなたでも大歓迎です。
Love,
tOMoko ♡
